〜開設祝いにいただきました〜

      オレは息の詰まりそうな緊張感の中にいた。
      部室の窓のサッシをこまめに雑巾で拭いてる。
      なぜ、こんなに緊張しているのかというと、
      今この部室にいるのは犬飼とオレの二人なのだ.
      いつもはふざけ合っているがいざ二人きりになると緊張する。
      (早く終わらせて…)
      帰ろう。
      酸欠で窒息死してしまいそうだ.
      「猿」
      突然話しかけられて心臓が飛び出しそうになる。
      「な、なんだ?」
      オレの目の前に空の洗剤容器を出す。
      「空になっちまった」
      オレはむっとし、
      「保健室で貰ってくればいいだろ?!」
      とつい大声を出してしまった.
      「・・・」
      「何だよ」
      縋るような目。
      「保健室の…掃除って…」
      女子ばかりだ。
      「それがどうかしたか?」
      憮然と問い詰める。
      「と、とにかく一緒に来てくれっ!」
      「どうして?」
      すると犬飼はオレの手首をつかむとすごい速度で走り出す。

      予想どうり、保健室には女子生徒が5,6人がたむろっていた。
      「おい、早く入れよ」
      引き戸を開け、中に入るように促すが奴はじっと中を見つめ、うじうじしている。
      「どうしたんだよ、早く!」
      「た・・・、頼む、猿、取ってきてくれ!」
      「はあ?!どうして?」
      「何も言わずに頼まれてくれっ!」
      オレはしぶしぶ保健室の中に入ると
      「洗剤もらうぞ」
      と一言かけ、洗剤をダンボールから出し、出て行った。
      「ほれ」
      ぽんっと渡すと、犬飼はため息をついた。
      オレは何も聞かずに歩き出した。
      「聞かないのか?」
      「何を?」
      「オレが女性が苦手なわけ」
      オレは背伸びをして犬飼の頭を叩くと、
      「聞いてもつまんね−もん」
      と言ってやった。
      西日が差し込む夕方のちょっとした出来事だった。






      美月野 紫良 様、本当にありがとうございます。
      開設祝いとしてこんな素敵なものを頂けて、幻は幸せ者です。
      読んでいて妄想が(おいっ)膨らんでしまいました。
      まぶたの裏に光景が浮かぶ感じです。
      変な日本語ですみません、うまく言えないデース(壊)
      こんな幻ですがこれからも相手にしてやってください。
      こちらも大切に飾らせていただきます♪