大江戸




ここは江戸。
そこに、悪しき者たちを懲らしめる者たちがいた。
彼らの名前は「青(せい)」。
昼間は着物屋の店員。
夜は・・・。

着物屋「青(せい)」
「おねぇさんっ、これ、絶対似合うよ!!」
店員の桃がにこっと笑う。
「何言ってる、こっち方が絶対似合うぜ」
同じく店員の薫が言う。
桃と薫は同期にこの着物屋に入ったライバル。
二人とも女性のような名前だが立派な男。
そんな中、布をたたんでいるのは今年は言ったばかりのリョーマ。
異国育ちで、社会勉強の為にここに入ったのだ。
「おチビ、これもよろしく〜!!」
そんなリョーマの前にどさっと布を置いたのは菊。
菊は青のムードメーカー的存在。
動物が大好きでいつも捨て猫や捨て犬を拾ってきてしまう・・・。
「こら、菊、リョーマに任せないで自分もやる」
菊は大石に言われ膨れる。
大石は優しい性格でいつもにこにこしている。
「分かったよぉ」
大石に言われ渋々手を付ける。
「ただいまぁ」
その時、紙袋を持った、周助が帰ってきた。
周助は店長のスミレの使いで菓子を買いに行っていたのだ。
「あれ、周助、菓子屋には弟が働いてるんでしょ、よく追い返されなかったね」
菊の言葉に周助は、
「一応客だもん」
としれっと言い放つ。
確かに、客じゃ、追い返すわけにも行かないだろう・・・。
「そういや、乾は?」
周助の言葉に菊はため息をつく。
「スミレ店長のとこにお給料を取りに行きましたよ」
桃の言葉に菊の顔が輝く。
「そうだっ、今日は楽しみなお給料日だもんね〜、あれだけ、夜のお仕事頑張ったんだから期待してもいいよな・・・」
リョーマはため息をつき、
「菊は、寝坊ばっかしてたでしょ」
ぎくっと菊は肩をすくめる。
「そういや、手塚は?」
周助の問いかけに桃が、
「もう少しで戻ると思いますよ、乾さんとスミレ店長のところに行くって言っていたんで」
周助はため息をつき、上がる。
しばらくして、乾と手塚が戻ってきた。
乾は青の計算係兼発明家。
手塚はこのバラつきまくっている青の店員をまとめる店長代理。
「乾っ、お給料は?!」
乾はため息をつき、
「タカさんは?」
いつもいる筈の河村をきょろきょろ探す。
「あ、ごみ捨てに行ったっす」
リョーマの言葉に乾は、
「ちょっと向かいに行ってくるから待ってて」
その言葉に菊が、
「にゃあ〜、まだお預け・・・?」
と膨れる。
乾は裏に行った。
しばらくして河村を連れて戻ってくる。
「じゃ・・・みんな、集まって」
乾の言葉に期待が高まる。
「お給料を渡す前に・・・手塚」
乾は手塚を見る。
手塚はすっと一枚の白い封筒を出す。
「依頼だ」
菊がすかさず、
「給料は?!」
と問う。
乾は微笑み、
「依頼の後v」
と言った。
「何だよそれッ!!」
菊を含め全員がそうツッコミを入れた。
「何言ってるんだよ、この依頼が成功すれば給料が2倍になるかもしれないんだよ・・・?」
その言葉に全員が頭の中でじゅるりと涎を垂らした。
「よっしゃっ!!強気を助け弱きを挫くこの「青」が困ってる人たちを助けてあげましょう!!」
桃の言葉に大石が慌てて、
「桃、それ反対だよ・・・」
と頭を抱えた。
「まあ、とにかく依頼内容を読むよ」
依頼は最近、現れる通り魔の事だった。
若い女性を狙い、長い髪を短刀で切っていくのだ。
おかげで今年の秋祭りは女性の姿が見えないと言うものだ。
「にゃるほどね、ようはその通り魔を捕まえればいいんだにゃ」
「そういうこと」
乾はにっと微笑む。
「でも、そういうのってお役人の仕事じゃないんすか?」
リョーマの言葉に乾は、
「それが、役人のいない所でばっかり起きているんだ」
「なるほどね・・・」
手塚はため息をつくと、
「若い娘を持つ両親からの依頼だ」
と付け加えた。
「スミレ店長も孫の桜乃ちゃんが心配と言っていたしな」
手塚は、全員を見回すと、
「とにかく、これも仕事だ、成功すれば特別手当もつくことだ、気を引き締めていくぞ!!」
「はいっ!!」
〜その夜〜
「・・・で、なんだよ、この格好は」
周助の弟、裕太はむっとした顔をしていた。
なぜかと、言うと、周助の説得(?)のおかげで弟の裕太が女装をすることになったのだ。
しかも、裕太の同じ職場の先輩、観月もだ。
「なんで、僕が・・・」
と、文句言いながらもまんざらでもない感じだ。
「兄貴がやればいいじゃないかッ!!」
「嫌だ」
人にやなことを押し付ける周助にそこにいた全員が見て見ぬふりをしていた。
自分が押し付けられては嫌だからだ。
裕太はため息をつくと紺色のリボンで一つ結びをした鬘をかぶる。
「じゃ、周助と薫、桃、リョーマは裕太君と行動、大石と菊、乾、河村は観月と行動をすること、犯人を見つけたら、コレ」
手塚は携帯電話を出す。
「これで、全員に知らせること」
「OK」
全員が二つに分かれた。
ー観月斑ー
「乾ぃ、本当に髪切魔なんて出るんかよ」
菊は早くも膨れている。
「うん、噂によると髪切魔は一つ結びをした髪を短刀で切るんだ」
観月は髪を掴み、
「だから、僕の鬘も一つ結びなんだ」
と言った。
「・・・というわけで、はい」
乾は菊と大石にボールとラケットを渡す。
「タカさんは後でね」
乾はそういって微笑んだ。
「因みに、今日のボールは「こしょうボール」、ボールの跳ねをそのままにして中身にこしょうを加えた」
そしてもう一つボールを出す。
「こっちのは「音だけ爆発ボール」周助たちに渡しておいた」
「よくこんなの作ったな」
大石はボールを見つめながら言った。
「科学に不可能はないよ」
乾はくいと眼鏡を上げる。
「じゃ、行こうか」
路地まで来ると4人は観月と距離を置き、離れた。
観月はきょろきょろと見回す。
菊はため息をつき、
「出ないにゃ・・・」
と小声で言った。
その時、観月の歩が止まった。
短刀を持った、長髪の黒髪の男が観月の前に立っていた。
「えっ・・・!!」
観月は後ずさる。
男に背を向けて走り去ろうとした時にぎゅっと髪を掴まれた。
菊たちは出て行く。
「くらえ、乾作、こしょうボール!!」
菊はラケットでボールを打つ。
ぼんっと爆発をしてこしょうが辺りを包む。
しかし、それは犯人だけでなく、菊たちを包んだ。
「ふぇ〜くっしょん!!」
くしゃみが止まらない。
「は、犯人は?!」
大石は涙を拭きながら観月を見る。
観月の鬘は短く切られていた。
「やられたか・・・!!」
しかし、犯人の影が曲がり角を曲がった。
「タカさん!!」
乾はラケットを出すと、河村に渡す。
「よっしゃあぁ、バーニング!!」
河村はだっと走り出す。
「タカさん、後は頼んだよッ!!」
河村は犯人を追いかけ走っていった。
「待ちやがれッ!!」
犯人はたっと屋根に飛んだ。
「あ!!」
すると、角を曲がってきたリョーマたちにぶつかってしまった。
「ったぁ・・・」
河村の手からラケットが落ちる。
「犯人は?」
河村は見回す。
桃は、河村の肩を掴み、
「犯人見つかったんすか?!」
河村は立ち上がり、
「あぁ、屋根に飛び移ってどこかに・・・」
河村がため息をつくと、桃の後ろから裕太と周助が走ってくる。
「タカさん!!」
周助がの後ろに裕太が立つ。
裕太が呼吸を整えていると、裕太の後ろから腕が伸びてきた。
「えっ・・・!!」
裕太の口はぐっと塞がれた。
「んっ・・・!!」
裕太はそのまま連れ去られてしまった。

「何?!裕太君が連れ去られた?!」
手塚はため息をつく。
「・・・しかし、手がかりがない」
乾は周助に、
「周助、裕太君はボール、持たせた?」
「あ、うん、一応」
乾はすっとパソコンを出す。
「僕の作ったボールには発信機を付けているんだ」
乾はキーボードをたたく。
「あ、ここだ!」
周助は画面を見つめ、
「ここって・・・、お役所?!」
「でも、どうして、お役所なんだ?!」
リョーマは、
「この事件、役人が絡んでるってこと」
と言った。
「そんな、役人って普通・・・」
菊の言葉にリョーマは頷く、
「そう、見回りをしている時も役人はいなかったっすね」
手塚はすっと立ち上がり、
「とにかく、お役所に行ってみよう」
手塚を含め全員で役所に向かう。

その頃裕太は・・・。
椅子に座り、目の前にご馳走を並べられていた。
「あの、これは・・・」
裕太は呆然としていた。
役人の一人が、
「成り行きとはいえ、怖い思いをさせてすまなかった・・・」
「あ、いえ、でも、どうして・・・」
裕太の問いかけに別の役人の一人が、
「君は「青」の一人だろう・・・?」
裕太はしばし考え、
「え、まあ・・・」
と曖昧に答えた。
「そうか・・・」
裕太は立ち上がり、
「あの、どうして、女の髪の毛を・・・?」
そう問う。
役人の一人が悲しそうな顔で、
「ここのところ、米が不足で、外国から輸入をしているのだが、無効では日本髪の鬘がはやっていてな・・・」
「髪を集めるわけにも行かず・・・こうなってしまったのだ・・・」
裕太はため息をつき、椅子に座る。
「まあ、髪はいつでも伸びてくるから、気にすんなよ」
裕太の言葉に役人はぱっと顔を輝かせる。
「でも、こんなこと、もうやめろよ、切られていい気持ちなる奴なんかぜってーいねぇから」
「はい・・・」
裕太はため息をつく。
「じゃ、俺、帰るから」
そういうと、立ち上がり、障子を開けた。
すると、「青」の全員がそこにいた。
「な、何やってるんだよッ!!」
裕太の問いかけに周助は照れ笑いをし、
「ど、どこか怪我してない?!」
「いや・・・」
「なら、よかった」
裕太はため息をつくと、役人に代わり、説明をした。
今回はお咎めなし、と言うことで、お役所と「青」の中にしまうことにした。
髪切魔はそれから出なくなった。

「兄貴、頼んでた菓子を・・・」
裕太は「青」を尋ねた。
「あ、裕太君」
何故かそこに観月がいた。
「あれ、観月さん、どうしたんですか?」
観月の足元には数枚の写真が・・・。
裕太は、
「何すか?この写真」
手に取る。
それは裕太の女装写真だった。
「な、なんでこんなものがッ!!」
裕太は慌てて写真を取る。
裕太の手からすっと写真が取られる。
「あ、兄貴ッ!!」
「僕が頼んだんだよv」
「はぁ?!」
裕太は訳が分からずに首を傾げる。
「だって、裕太の可愛い姿、二度と見えないかもしれないじゃないか」
裕太はプルプルと拳を握る。
「この、バカ兄貴ッ!!」
走り去っていく。
周助はその背中を見ながら、
「いやぁ、裕太はやっぱり可愛いなぁ〜」
とのんびり言っている。
その一部始終を見ていた手塚が、
「お前、弟に嫌われてるだろう・・・?」
周助は、はははっとわらい、
「嫌だな〜、裕太が僕を嫌うわけないじゃないか」
・・・。
知らぬが仏、そこにいた全員がそう思っていた。


〜後書き(イイワケ)〜

なんなんでしょう、コレは・・・。
テニプリで江戸時代・・・。
設定が曖昧なために話も曖昧になってしまいました。
本当にこんな小説を送っていいのでしょうか・・・。
妄想に女装にヘタレ。
悪い三拍子そろった小説です。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
ではでは。


紫良様〜ありがとうございます。裕太君、可愛いv
乾さん特性の武器は威力が凄そうです!今回のデータを元にまた改良が加えられてそうです。
本当にありがとうございました。



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